バリアフリー音声ガイドとは
見えない人、見えにくい人に映像の感動と喜びを!
私たちの身の回りにはたくさんの映像があふれています。
映画、テレビ、インターネットなど、あらゆる情報が映像を伴う時代。今や映像コンテンツは、情報収集とコミュニケーションに欠かせないものとなっています。
見え方に困難を感じている人は急増しています
厚生労働省の調査によれば、何らかの原因で「見ること」に困難を抱えている人は全国でおよそ31万人、社会の高齢化に伴いその数は増えています。
多くの人たちが映画やテレビの楽しみを失い、映像情報を受け取れない状況があります。
増え続ける映像と、見えない・見えにくい方々を結ぶ技術、それが映像の音声化、すなわち「バリアフリー音声ガイド」なのです。
視覚情報を言葉で届ける「バリアフリー音声ガイド」
映画の場合
映画の「バリアフリー音声ガイド」は「解説」や「説明」とは少し違います。
例えば、ホラー映画で「部屋の隅に死神がいる」と言われるより「部屋の隅に黒い人影」と言われたほうが、「不気味だな、死神かな?」と想像できて、映画を楽しめるのです。
映っているものを言葉に置き換える作業は、まるで映像の実況中継です。
美術館や博物館で導入されている「音声ガイド」とも違うものです。
美術館で取り入れられている音声ガイドは、作品を見ながらイヤホンで作品の背景や作者についての解説を聞くことができる便利なものです。
しかし、目の不自由な人には、その作品がそもそもどういうものなのか、「絵画か、彫刻か」絵画だとしたら「大きさは?形は?色は?人物画か、風景画か?」など観賞するために説明してほしいものがたくさんあります。
見える人にとっては簡単にとらえられる情報を、言葉で説明することで、目の不自由な人がイメージすることができる、それが「バリアフリー音声ガイド」なのです。
バリアフリー音声ガイドは
こうして作ります
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①原稿作成
ガイドを作るためには何回も映画を見たうえで、専門的な知識が必要な部分は調べて、原稿にします。この原稿を書く人をディスクライバー(描写する人)と呼んでいます。
映画には台詞や効果音、音楽も入っています。ガイドがそれらの音響を邪魔することもできません。台詞と台詞の間の短い隙間に無駄のない言葉でガイドを入れていきます。 -
②モニター会
ディスクライバーが書いた原稿はそのままでは使えません。実際に目の不自由な方に聞いていただき、的確なガイドになっているかをチェックするのがモニター会です。ガイドが足りないところや、聞き取りにくいところ、逆にガイドが多すぎてストーリーの流れを切ってしまっているところなど、目で見ている人には気がつかないチェックポイントを、耳で点検して修正を繰り返します。
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③ナレーター収録
音声ガイドを読むナレーターにも専門性が求められます。作品の雰囲気に合った声質であることはもちろん、ナレーターがあまり感情をこめて読むと、かえって映画に入り込めなくなってしまいます。場面の雰囲気に即して、確実に言葉を届けることが一番大切な技術です。